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  • 2016.10.11 Tuesday
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黒祠の島/小野不由美著

評価:
小野 不由美
祥伝社
¥ 690
(2004-06)
ノンフィクション作家の葛木志保が失踪した。
事件ルポの調査で時々仕事を共にする式部剛に、
「帰省するが戻らなかったら部屋の処分をして欲しい」と、
彼に部屋の鍵を渡したまま。
閉塞された郷里の小さな島、夜叉島。
彼女と共に島に渡ったという謎の女性。
つじつまの合わない、人々の証言。
見え隠れする土着の慣習。
式部は苦心しながら調査を進めるが、ある証言を得て愕然とする。
・・・尋ね人は亡くなりました。
と。


本格推理と銘打ってあります。
著者はご存知の通り、人の心の小さな揺らぎも洩らさず書く名手。
しかも、土着の信仰や慣習、人々の関わりなどもつぶさに書く作家です。
が、どうもこの小説ではそれが生かし切れてない気がしました。
「黒祠」と言う一種特殊な特徴を持った、地方の島。
そして、そこで起こる殺人事件。
島の有力者と、祭司の関係、祀られた美少女浅緋。
微妙な力関係もうまく書かれていますが、推理小説かと問われれば、
首を捻るしかない。
推理小説と言っても問題はないけれど、「本格」の文字はどうかな?
小説自体は面白いですし、読み応えもあります。
最後にちょっと畳みかけるような感はありますが。
著者の作品が好きな方なら、読んでみても損はない気がします。
もう少しだけ枚数を増やして書いた方が、良かったかも知れませんね。




”文学少女”と飢え渇く幽霊/野村美月著

評価:
野村 美月
エンターブレイン
¥ 630
(2006-08-30)
物語を食べちゃうほどこよなく愛する妖怪(?)文学少女天野遠子。
そして一級下で過去、「謎の天才美少女作家」であった経歴をひた隠しに生きる少年、井上心葉。
いつものように、いつもの如く文学部の部室では、
部長の遠子先輩が、心葉に「三題噺」を書かせていた。
話の出来(味)に不満(激辛!)の遠子先輩。
不法設置の「恋愛相談ポスト」を物色(甘い物探し)に行く。
しかし、そこに投函されていたのは、小さな破り取られた紙片に書かれた呪わしい言葉と、意味不明の数字・・・。
その謎を突きとめていくうちに出逢った一人の少女。
自分を「死人」と言う、夏夜乃と名乗る少女。
そして、その少女にそっくりの、蛍と言う在校生。
夜毎に現れる、死人を名乗る夏夜乃と邂逅する心葉。
少女にまつわる謎と、手紙の謎。
二人は意図せぬままに、複雑な物語へと足を踏み入れていくのでした。


ふむ。
レモンを二つに割って、お砂糖たっぷりのオレンジキュラソーでソテーしたような、切なく、すっぱい物語です。
前作に比べても、描写力が上がっているのと、構成がしっかりしているのとで、気が付いたら心葉より、蛍寄りに引き込まれていきます。
エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を題材にして、切なすぎるほど哀しい物語が展開していくのです。
前作の太宰治モチーフは、私の苦手とするところであったので、少し途惑ってしまった感は否めませんが、本作の「嵐が丘」となれば話は別で。
私はこの物語を、小学生から何度も読み返している(笑)
だから、物語が進んで「嵐が丘」の題が出たときから、物語の哀しさは読めてしまったのですが。。。
クライマックスの遠子の謎解き(?)や、蛍の想いもさることながら。
エピローグの、蛍から流人に宛てたメッセージに泣けてしまいました。
まだまだ心葉のトラウマは消えないし、問題を抱えた登場人物が更に増えた感はありますが、狂おしいほど切なく甘酸っぱい、いい物語になっています。
途中、青春小説のような爽やかな甘苦さもあります。
次巻を読むのが楽しみになりました。

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